ローコスト市場なるものは、市場のパイが無限にあるわけではなく、戸建て住宅市場でいえば最大にみてももっとも、最近ではこうしたローコスト市場型商品購入者への独自の提携ローン付けをビジネスモデルとして展開しようとする金融ビジネスも登場しているので、市場拡大が図られる可能性を無視することはできないのだが。
かくして、ローコスト市場においては、必然的に結果としてコストだけの市場競合が激化するので、ユーザーに対して鮮度の高いサプライズ提案ができないと、市場から撤退する憂き目にあう。
ローコスト市場での展開は、この鮮度の高いサプライズ提案が命であるから、鮮度が落ちるとまた新たな姿形で市場再登場が必要となる。
こうして新陳代謝がどんどん促進されることとなる。
もうひとつ、総研絡みでわからない部分は、BSPによる利益をどの程度調っていたのか、ということだ。
K建設とHは、このローコスト手法でどの程度の粗利益を確保していたのか。
この粗利益率に多くの不動産や地場ゼネコンはそれこそサプライズして加入しており、ひとつのインセンティブを形成する。
Hは、戸建て分野でいえば新興のパワービルダ!という役どころとなる。
しかし、パワーピルダーの一部も凄まじいクレームを抱え、新たな分譲物件を送り出す状況ではない会社も出てきている。
パワーピルダーのローコスト化も半端ではないから、不適正な構造的歪みが一気に噴出しつつあるのだ。
「結局、パワーピルダーも土地活用ビジネスなんですよ。
ですから、ミニ分譲すらできない土地は、アパートによる資産活用を商品化するという方向に動いていますね。
マンションにならない土地がミニ分譲に、それができない土地をアパートに、その先はなんでしょうね」と話を聞かせてくれる資材屋さんもいる。
もうひとつの問題は、設計施工一貫システムが問われているということだ。
K建設の子会社である平成設計は、いってみれば施工会社が設計事務所登録をしているのと同じようなものである。
設計業界的には、今回の問題は、平成設計とは名前だけで、森田設計事務所もその構造の下請けをしたA建築事務所も、結局は代願屋さんということになる。
この代願という構造をどうするのかということで、今後、設計事務所とのパートナーシップのありようも問われてくる。
多くの設計事務所が抱えている現実を、今回住まい手は垣間見たのではないだろうか。
品確法以降、代願事務所が「設計者として名前は使わないでほしい」というケースも増えている。
設計事務所が今回のような設計詐欺にひっかからないとも限らないから、彼らも「代願は作業だけで、名前貸しはしない」といったことになるだろう。
そうしたことも含めて、契約書からすべて「顔のみえる人々」の名前で構成されることが前提となるだろう。
ここが問題ということで、明確な第三者監理を徹底すべしがという議論もはじまるだろう。
だが、それは建物規模との関係をみて考えるべきだろうと思うのは、私だけではあるまい。
住まい手が直接発注者となる注文戸建て住宅と、購入者が不特定で発注者が非消費者の分譲住宅やマンションとを同一視してよいのか、という問題もある。
最近、設計事務所が注文の戸建て木造住宅を手がけられるのは、不完全な意匠設計をもとにきちんとした施工を行う工務店の存在があるからこそなのである。
そうした設計者が、一級建築士というだけでまともな監理などできるとは思えないのだ。
ということは、設計施工一貫型の場合は、品質確保と、施工品質の徹底管理と情報開示を、絶えず施主に対して行うということが条件となる。
マンション施工においても、施工情報の開示が行える体制をとっている業者であるかを確認する必要はある。
話は少しそれたが、そもそも建築基準法とはどのような法律なのだろうか。
おそらく、建築基準法は最低の基準ということを、一般の住まい手は知らない。
「基準法をクリアしています」というと、何だかそれだけで納得してしまう。
しかし、建築基準法は「建築行為において、最低限守らなければいけませんよ」という法律であり、建物の水準を示すものではない。
建築基準法は昭和お年に制定・施行されている。
その後何度も改定がなされており、これまで数回にわたる大きな改正がなされてきた。
そのうち今回大きく問題とされているのが、9回目の大きな改定となった平成15年の基準法改正である。
建築確認・検査の民間開放も、ここからはじまる。
さらに、建築基準の性能規定化、中間検査の導入といったことが追加されている。
基準法が存在する理由をM氏は、「重要な品質または性能は目に見えないものが多い。
さまざまな影響を内外に及ぼす。
環境及びライアラインの負荷となる」と語る。
また、建築物の目に見えない性能として、「安全性を例にとれば建物の利用者は危険な建築物を避けることができない。
一方、見えない、したがって市場で評価されない性能を低下させて、利益を増加させるインセンティブが、生産者や貸し主や投資家に常に働いているのである。
現実にも、欠陥建築は後を絶たない」と述べている。
さらに、「建築物の安全性確保は、建築主、および建築行為の専門家に課せられた『他の市民に対する責務』」と指摘している。
ちなみに、この号の特集は「建築基準法最低基準の意味」である。
この号では、建築基準法の意義とその問題点がさまざまに論じられている。
なお、同誌特集において平田京子氏が「誰のための建築基準法であるべきか」と題して問題提起をしており、「法を守ればそれが最適解であるかのように思われている」として、「熟練した職人的技術者は少なくなり、行政も完全なチェック体制を敷くことはできなくなっている」と、この法的なシステムの危うさを指摘、継ぎ接ぎ化し、極めてわかりにくくなっているこの法律のリセットこそが必要、と強調している。
いずれにしても、今回も基準法を改定することになるのだろうが、単純に罰則規定などが強化されるだけでは、住まい手にとってのリスクヘッジとはならないだろう。
基本的には、これとセットになっている確認検査機関のチェック体制との問題が絡んでくる。
建築基準法の見直しを含め、再発防止策として現在議論されているのが、以下の各項目である。
グラムなどの見直し作業指定確認検査機関への構造専門の確認検査員を配置、そして優良事業者とその他の事業者の峻別と検査の合理化を打ち出している。
いわゆる格付けであるが、たとえば、工事不良物件などを何度行ったか、あるいは労災事故を起こしたかといったレベルでの優劣だと、むしろその問題が隠蔽される可能性もあり、かえって危険な現場をつくり出す可能性もある。
そのような優劣判断ではなく、後でも述べるように、開示性企業としてどれだけ住まい手に自社の経営や品質状況を開示できているのか、を問うような格付けが望ましいと考える。
さてどう体制をつくるのか、厳格化の内容が問われる。
アメリカなどでは、中間検査の検査員の多くが、施工体験をもつ職人の「上がり」コースのひとつとしての職能となっておりも兼ねることができていたが、今後は確認申請を出した機関とは別の検査機関が性能評価を行うといったことが考えられている。
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